夜の断片
たこ

冷たい夜が辛かったので、夜のしじまに問いかけてみる。僕は、僕を僕と呼ぶようになって、いつのまにか時が過ぎ、存在の危うさすら曖昧に、ぼやけた薄闇に抱き、ぼうっと腰を落ち着けている。ネグリジェの下に隠した秘密はいつになっても取り出せない。曖昧な夜の曖昧な未来ー雲の淡いに覗き見る幻想が、青い麒麟の長い尾をたなびかせ、何処かにさらってくれる。ことばにならないもの、なる前に潰されてしまったものーその狭間に生きながらえ、ステップを踏みながらたどたどしく歩く。夜とはそんなもので、そのようにして眠り欺く。淡いと幻想のその狭間の生まれるようで生まれないもの。


自由詩 夜の断片 Copyright たこ 2019-06-01 01:44:20
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