一秒
三月雨


なだらかな稜線、その向こう夕焼けの空
紺とオレンジの雲があまりにもきれいで
昔のことを三分ほど考えた

帰り道では黒い車、また黒い車、青いトラックに続いて
前倣えのブレーキランプでトンネルの壁を照らす

信号を待つ自転車押しの女性
正しい姿勢で早足の男性
少しずつ彩を落として行く空気

僕の目玉の表面に張り付いて
ただ現在そこだけに存在する
僕の世界はこれで全てだ







自由詩 一秒 Copyright 三月雨 2019-05-30 19:00:22
notebook Home 戻る