骨洗いの宿題
k o u j i * i k e n a g a

骨洗いの宿題はたいへんだ
僕は集中力がないから
いつも苦労する

僕のお姉さんは骨洗いが
とても上手だ

姉さんが骨を洗う姿は
とてもきれいで
僕は
自分のお姉さんなのに
変な気持ちになる

お姉さんの骨は真っ白で硬い
僕の骨は白さでは負けないけれど
まだまだ硬さが足りない

お姉さんが骨を洗っていると
いつも僕を見つけて
「あら、こうじも骨洗い?」
と聞いてくれる

本当ならこんな僕は無視して当然
なのにお姉さんは
「じゃあ一緒に洗いましょう」
僕を誘ってくれる

僕は骨洗いが苦手だ
集中力がないから
いつもうまく洗えない

嘘だ
本当はお姉さんの方に
気をとられているから
うまく洗えないのだ

くりっしゅきっつれっこ

お姉さんの骨はこんな音がする
大人になりかけの女の人の骨の音だ
僕の骨はまだ鈍い音しかしない

からっほんぬうぇっの

骨洗いの宿題を出す時の
先生の顔が嫌いだ
ニタニタ笑うおじさんは全員嫌いだ

先生は骨洗いが上手だけど
ただ巧いだけだ
小手先のごまかしでは駄目なんだ

いつかお姉さんは僕に言った
「洗うというのは本当は洗わないことなの」
僕はこの言葉が大好きだ
この言葉を心に刻みつけて骨を洗う
そうすると満足のいく洗い方ができる

お姉さんはよく誤解される
きれいな黒髪をおさげに結っているせいだ
でもお姉さんは決して保守的じゃない

今日お姉さんはとても斬新な洗い方をした
その新しい洗い方は僕をかき乱した
僕は色んなことが我慢出来なくなって
素直にお姉さんに打ち明けた
お姉さんはちょっとだけ悲しそうに笑うと
「いいよ」と言った

だから僕はいま
静かにお姉さんの骨を洗っている

つれっとでっちゃおっろ

お姉さんの骨の音が変わった瞬間
僕は叩き割った!


自由詩 骨洗いの宿題 Copyright k o u j i * i k e n a g a 2003-11-20 00:48:32
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