相談
墨晶
オガワが 拙宅に来た
相変わらずの巨体だ
顔もデカい上に 声もデカい
台風の夜の鳴り止まない雨戸の騒音のような男だ
「 キタねえ部屋だな 」
「 うるせえ 何だ 用件って 」
暑苦しい男が厚かましくも
わたしに相談があると云う
「 実は 病院に行ったんだ 」
「 痛風か? ああ 糖尿な 」
「 ちがう 」
「 アレか 双極性ナントカか 」
「 それはどうでも良い 」
「 ・・・・良かねえだろ 」
用件をなかなか切り出さないと云うことは
絶望的にくだらない相談だろう
休日のわたしは飲酒で忙しい
オガワは迷惑千万な男である
「 ちょっとこっちの部屋借りるぞ 」
オガワはそう云うと
わたしの寝室に入り 戸を閉めてしまった
ドタドタバタバタ やかましい
何をしているのかわからないが
やがて 静かになった
「 おい? 」
「 あ ああ ちょっと待ってくれ あと少しだ 」
オガワの声は狼狽している