記憶の奥に(改訂)
ひだかたけし
砂漠に住んでいる
高曇りの砂漠に
暑くもなく寒くもなく
居心地のいい処だ
余計なお喋りもなく
余計な関わりもなく
足元は絶えず崩れながら
孤独に寛ぎ待つことができる
俺はいったい何を待つ?
などと考えるまでもなく
近付いて来るそれを
巨きな漆黒の影伸ばすそれを
気配のなかで眼を瞑り
耳を傾けていればそれで良い
)沢の源頭に突然開ける原初の光景の如く
)自らの時間を巻き戻し遡行した挙げ句
)記憶の奥にのっそりと姿現すもの
近付いてくるものを
迫って来るものを
臨む日へ望まれた日へ
愉快に覚悟を決めていく
絶えず足元の崩れゆく
此処砂漠という孤独の場の
孤立にならないよう
バランスをしっかりキープする
そのことだけに専心しながら