夕暮れまで
Lucy

雲に穿たれた節穴から
ちょうどこっちを覗いた太陽と目があった
日没まで15分

氷点下11度
重さのない雪の結晶を
ふわふわ被った針葉樹の列

灯油ストーブの炎を背に
揺り椅子に座り
編み針を動かしている

月日は有限
命は残り火

たどり着いた春の岸辺に
奇跡のように
球根が芽ぶく

冬の靴を片付けて
ブルーのシャツにアイロンをかけ

昨日を手放す

クリストファー・ロビンは大人になり
父親を憎んだ

プーは古びたぬいぐるみに戻り

年老いた母は
それを両腕で抱きしめる




自由詩 夕暮れまで Copyright Lucy 2019-04-14 21:56:29
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