惰眠
こたきひろし

毎日が同じ事の繰り返しだから厭になるね。
と、人に何気なく言ってしまった。
ら、その人は「え?もし毎日が違う事の繰り返しだったら、私なんか一度に磨り減って擦りきれてどうにかなっちゃうよ」と言われたんだ。

たしかにそれは言えてる、と私は思ったけれど気持ちがすっきりしなかった。
毎日がこのまま同じ事の繰り返しだったら、細胞は劣化してしまうばかりで、その内に首がもぎれてそのまま冷たい地面の上に落ちてしまうような気がして、それをどうしても拭き取れないんだ。

私はぶきようでお金を集める能力に著しく欠けているんだよな。
だから家族の生活はいつもギリギリいっぱいで、何とか食べ物にありつけてしのいでいるんだよ。
なのに妻は、ある日「私は幸せだよ、これ以上今以上何も欲しくないから」て言うんだよ。


それを言われて、ハッとしたんだ。毎日が同じ事の繰り返しじゃないんだって、いきなり頬っぺた叩かれたような気持ち。妻よ有難うございます。
そんな気分になった。
だからって
これからも毎日は同じ事の繰り返しに変わりないだろうけれどね。



自由詩 惰眠 Copyright こたきひろし 2019-04-12 06:32:00
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