街路樹のうた
Lucy

強剪定された関節に
盛り上がる傷
そこから
見えない指を差し伸べる
しなやかな風に 

小鳥が飛んできてとまる

どれほど春が虚しかろうと
生きている限り
痛い 悲しい 嬉しい 怖い
 
迷子になった言の葉を
啄むくちばし
見知らぬ優しさを咀嚼する

根はアスファルトの下でぶつぎられ
誰とも繋がっていないけど
遠い空から見下ろしたなら
路に沿い仲良さそうに並んでいる
あるいは
同じ痛みに耐えている

もしくは
もうすぐ
緑の若葉をいっせいに
蘇らせる明日を夢見て
声をあわせてうたっている



自由詩 街路樹のうた Copyright Lucy 2019-04-06 15:43:49
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