アスパラ
帆場蔵人

太鼓の皮を破るような
驟雨が駆け足で通り過ぎていった
恐る恐る顔を軒に突き出して
ほっ、とする、お天道さんと
顔を突き合わせて

軒下で菜園の土を破り
アスパラガスの夏芽が
にんまり笑っていて
はっ、とする
臆病なわたしの顔をみたのだろう
だがな
おまえさんの秘密も知っているぞ
おまえさん、オランダキジカクシと
本名は言うそうじゃないか
どこにキジを隠したのだ
黙っているから、わたしが
臆病だと誰にも言わないでくれたまえ
それから
キジを少し分けてくれんかね
それとも
今夜の食卓にあがるかね
おまえさんは大層、美味そうだ
雨に洗われて、なんて瑞々しいのだろう


自由詩 アスパラ Copyright 帆場蔵人 2019-04-05 04:43:51
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