新たに
DFW


終電にゆられて、風の強い歩道橋を渡り、またビールを買って帰る

テレビ通販の明かりだけの部屋で、あしの爪を切りそろえて
膝を眼窩にうずめた


いつになく緊張してた官房長官がその昼なんだか可笑しくて
でも掲げられた二字はきれいにみえた


もうすぐ処分するテレビの明かりのなかで
ウソみたいに積みかさねられてくディスカウントに似た肌をさする

散らばった爪のうえにひらいたノートに
書き慣れない二字を試し書きして

見慣れたはずのいくつもの思い出を
新たに耳を傾けようとしてる、まだ微かな虹のような明かりのほうに寄せて 



自由詩 新たに Copyright DFW  2019-04-04 22:36:23
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