十五年前の君へ
服部 剛
やあ
十五年前の君
予想できるかい?
ひとつだけ、教えてあげよう
面白苦しい、面苦しい、日々の果てに
君は手にいれる
ひとつの温かい宝を
自由だとか、幸いだとか、愛だとか
求めるものはいつも
幻の玉葱で
剥いても、剥いても
目には見えなくて
それでも無我夢中でもがくうちに
ふいに僕のからだの芯に
予感は走る
宇宙永劫
過去と未来を越えて
今・ここに、ひとり立つ
僕という奴
の
存在の器の空洞に
透けたハートは・・・脈を打ち
手足の指先まで
血は巡る
僕が僕になるまでの道すじを
十五年前の君に
伝えたい/伝わらない
僕が見る、君の姿は透けていて
君が見る、僕の姿は透けている
から
伝えても、伝えても
硝子の壁のパントマイムになる
から
僕は只、信じることにする
十五年前の
青臭くも懐かしい君の
どしゃぶりの雨を潜り抜け
泥濘にハマりながらも
日々の晴れ間を
求める瞳
今・ここで待っている僕と
遠い道を歩いて来る君が
ひとつの
鼓動を始める
その日まで