トーキョー(ヘーセー)
はるな


わたしたちは 東京で べつに
憂いもなく であって
金を稼いだり 体をすりへらして
もちよったり
平成を 聞き飽きたり しなかったし
あらゆるぜんぶ それがあたりまえって思ってたし
べつに 憂いもなく すりへるのも

トーキョーもヘーセーも
わたしたちをつくった
でもそれで全部ってわけではない
というか何もない
高速道路が 完成して
作り始めが 壊れだして
なおして また伸ばして
トンネルは ほんとは 距離を縮めないし
とにかくいそいでいないと いけなくなった
ね、 黄色い画面。

街は 時代のふりをする
ひとだって時代のふりをする
言葉も 色もだよ。
信じるも信じないもないよねえって
あらゆるぜんぶそれがあたりまえだから。

東京で 平成で
街をして 人だった
すりへらし 築きあげる
消えてなくなりそうな 一枚ずつを折りたたんで
どうしようもない日には
くるまって 眠る
何一つ 全部ではないし
全部には ひとつもない
つくったり つくられたりして
しながら、すりへっていく
そうしていつのまに
おしまいを わすれていく


自由詩 トーキョー(ヘーセー) Copyright はるな 2019-03-30 21:46:19
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