家族会議はしないけれど
こたきひろし

家族が崩壊しかねない危機的な状況におちいっても
あらためて会議なんてしなかった

そんな日がそんな時が
来たんだよな
前触れもなく突然に

上の娘が下の娘も連れて家を出て
アパートで暮らしたいと言い出した
以前からよくよく考えていたらしい

父親の俺は人間の程度が低いから
それは無慈悲に親をすてる仕打ちにしか
思えなかった
憤慨した
そして
悲嘆にくれて涙が溢れでた

母親の彼女はいたって冷静に受け止めた
何でやねん
何でやねん
苦労に苦労を重ねて
成長させた我が子だろう
何で
自分だけ
深くてあたたかい愛情で受け止めるんだよ

俺は納得しない
親のエゴイズム剥き出しにてもかまわない
つもりが
「分かった」

一言を言ってしまった
言ってしまった

何でだろう
自分で自分がよく理解出来なかった

理解出来なかった


自由詩 家族会議はしないけれど Copyright こたきひろし 2019-03-13 05:58:06
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