来たので
はるな
来たので、
わたしは
行きます
黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして
来たので
窮屈な靴ばかり履いていた
厚ぼったい肌をしてがたがたふるえて
100の望みを書いた薄ぺらなノート
噛みあとだらけのえんぴつ
待つともなく暮れていく生活の糧に夢をあて
汚れた指を笑い
コンビニの誘蛾灯に怯えたり
点数制の笑顔で表を作ったり
春には春の、
夜には夜の冗談をして
この体の全部嘘にできたら良いと思ったりした
けれど朝、
わたしは行きます
世界は来た
つめたくて痛い速さで
黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして