ゼロ《・》ダイバー
ナンモナイデス
もし分業なんてしていなかったら
どうだろうなぁ
農家もなければ
猟師もいない
食うために有尾猿らと変わらぬ
生き方のままでいる
知恵のない裸体の尾のない猿
発情期にだけメスがオスを誘惑し
生まれた子どもはメスがみる
オスは子供に嫉妬し
子殺しをやる
子供が殺されるとやることがないメスは
自然にまた発情する
洪水や大火など
災害が起こり多数の個体が死んでも
メスが生き残れば廃土だってなんだって
発情する
発情すればどこからかオスがやってくる
オスはメスとやることしかできない
そんな
知恵のない裸体の尾のない猿
でしかなかった存在者が
なにゆえに目覚めたのであろうか・・・
もう一度ゼロにして
沈潜してゆこう
知恵の始原の闇の中へ