分岐、気分で
N哉

(どこでどんな具合に産まれたかなんて話は、この際どうでも良くないか)

おれ、JKのパンツがチラッと見えそうだったので
全力でもって前のめろうとして、寸でのところで自制心が勝る

今日が終わる、おれ、その頃に、JKの実在性の希薄な、架空のパンツと共に反芻する

朝、順当に起きたおれAと
まだ寒さの抜けない朝を越えられず
「体調不良のため、全休させて頂きます」とスラックに書き込んだおれB

小走りで9時の電車に乗ったおれAAと
急に色々どうでも良くなってソシャゲに熱くなり、次の電車を待つことにしたおれAB

ちなみに、おれBはそこから更に二度寝したBAと
張り切ってパチ屋に並ぶおれBBに分岐する

そんな風に数えてみる

部屋いっぱいに暫定パンツが溢れるくらいに、たくさんの分岐したおれが正座
一人一枚、しっかりと幻想のパンツを握りしめて鎮座
(残念ながら、パンツ自体を握りしめていないおれは、遥か以前に分岐して赤の他人レベルに)

おれ、常にパンツ型のアメーバみたいに分裂してきた

毛穴から呼吸してみたおれ
眉毛に含まれた福毛を人知れず0.1mmほど静かに伸ばしたおれ
元カノを一瞬思い出して諦めたおれ
何かを思い出そうとして諦めたおれ
独り言をいいかけてやめたおれ
言っちゃったおれ

無限に増え続けるおれとパンツの可能性が、万華鏡みたいに
そうだな、万華鏡みたいに

そして、すべての分岐を収束させられなかった、別に選ばれたわけでもないおれが
それでもこれが選んできた結果なのだとか言っちゃってから
全力でくしゃみ

ごらん

パンツ、部屋に、空に、舞い上がる


自由詩 分岐、気分で Copyright N哉 2019-03-11 22:24:03
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