レクイエム
玉響

掌から零れ落ちた幸せを
慌てて拾い集めようとするけれど
砂上の楼閣の如く
脆くも崩れ去り
風に浚われ跡形もない

立ち竦む 過去と未来の狭間
砕け散った心だけがその場に囚われ
視界を阻む濃い霧が周囲に立ち込める
永遠とも思える時間の感覚は螺旋に流れ
白昼夢にも似て現実を麻痺させてゆく

現実と幻の境界線で惰眠を貪り、夢を見た
体内の至るところに刻まれた螺旋の記憶は
太陽を中心に螺旋を描いて回る、星々そのもの
螺旋は永遠に旅をする
そんな夢だった

美しい軌道を描くこの旅が
未来永劫続くとしたら
再び幸せを取り戻すことも可能で
今生 二度と帰らぬ人たちも
またいつか 生まれ変わるだろう

哀しい哉 人は生まれ変わる度
忘却の門をくぐり振り出しに戻るけれど
繰り返す旅の何処かで
縁、という不思議な糸に手繰り寄せられ
私たちは何度でも、巡り逢うのだ



自由詩 レクイエム Copyright 玉響 2019-03-11 14:58:31
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