架空の恋
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ただきみが死んでしまうということが僕にとっての救いだったはずなんだけど
終わりがあるならすべてが美しい思い出になるしゲロ吐いたことにも意味があるし
心臓をすり潰してつくった色とりどりの造花を花束にしてプレゼントしたけれど
笑顔で受け取って首から下の憎悪で踏み潰されてしまったよね確か

まあそれでもつまるところきみが好きで

星のような言葉も月のようないのりもぜんぶワンクールで灰になるインスタントメシだし
そういうものをありがたがる幸せな畜生たちと違う僕は遥か遠くのニンジンを追いかけて
本当のきみになんて興味はなくてホンモノが含む不純物のないニセモノがいつだって欲しい
しかしどんなに言い繕ったところでどうしようもなくその一挙手一投足に気を取られて

つまるところきみが好きで

結局僕の造花が飾られていたことが一等の賞状よりも昨日のスシよりも嬉しかったわけだし
つくりものの笑顔を向けられただけで夜中に走り出してしまうわけだし
些細な言葉をふいに愛されただけでもその日のすべてが報われてしまうわけなんだし
ちょっとした特別になれただなんて思い上がりだけでも重力さえ反転させてしまうわけで

きみが好きで

きみが生きているかぎり続くこのじごくこそが恋と呼ばれるものなんでしょうね
まいにち僕はその花のようなナイフで急所ばかりを刺されて血を吹いているわけです
しあわせなんて文字列は最初の数秒でゲシュタルト崩壊して意味のゴミ箱に棄てました
くつうがヒトのかたちを美しく造るってこともはじめて知りました

つまりきみが好きだというテイで生きているんです、僕は。


自由詩 架空の恋 Copyright xxxxxxxxx 2019-03-11 00:25:07
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