白い暈
ルラ
己を 持続する
法則の サークルが
正常から 混沌へ
逸して 狂った
民謡や 数列が
混濁し 雑駁に
焦燥と 錯乱とに
情操が 破綻した
海馬を 蹂躙する
暗黒を 震源とし
砕かれた 頭骨が
相貌を 突き破った
抉られた 両眼は
歪に 修復され
多感な 複眼となり
人間を 見つめた
画壇の 娼婦が
彩管と 没した
暗い 唄の絵
苦悩の 深淵
怜悧な 少年と
古びた 常春藤
孤独な 少女と
蜜蜂の 青
視覚は 細分化され
色調は 再配合され
革易された 色神から
放流された 画像の卍
叙情には 神韻を
偉容には 王笏を
悲哀には 旋律を
無常には 万有を
風を上った 想念を
弓形の 気流の上端
旋回する 鳶の筆勢が
淡い暈へと 昇華した
錆びた時間軸が 回す
冬の車輪の様に 白く
静かな額へ 導くと
環状の洞へ 戻ってきた
瑞々しい サークルに
精神の 帳を下ろし
人格と 符合するよう
観測させ 展開した
情理を思惟に 含有し
認識を賢しく 高める
冠たる正円に 諭される侭
或いは不意に 天を仰いだ