音に溺れる
三月雨

ヘッドホンで蓋をして

全世界にお別れをする

頭の中で騒ぐ感情を
小さな機械から溢れる盛大な音に浸して
終わりのない映像が生まれる

目を閉じるほど音が、風が、匂いが
まず頭を包み込んで、喉を下り心臓へ至ると
瞬きの速度で全身に伝播していく

この上ない快感

僕の身体は今どこにある?
知覚することなど無意味で

僕は過ぎた一秒にさよならをして



今、今、


音に溺れる。







自由詩 音に溺れる Copyright 三月雨 2019-02-18 21:08:16
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