聖なるもの
やまうちあつし
その店は
聖なるものを売っている
行けばすぐわかる
店の奥から
神々しい光が溢れているから
価格は無料
望むなら誰でも
聖なるものを
受け取ることができる
けれども開店以来
買い手がつかない
客らしき者が入ってきても
タダだと聞くと
尻込みをして店を出る
タダほど高いものはないのか
人は値段のつかないものに
上手く反応することができない
それならばいっそのこと
値段をつけてはどうか
そうすればその価格に応じた
顧客がつくことも考えられる
けれどもそんなこと
許されるはずもなく
店員は今日も店番をしている
涙目で