無人島にて
服部 剛
無人島の浜辺に
置き去りの切り株を運び
堤防に置く椅子にして
腰を下ろす
竿を手に
糸をしゅるる――と無心で放ち
午後の凪いだ海の水平線に
目を細める
阿呆らしい日々は
遥かな街に置いてきた
海の風景の一部になり
世界にひとり、私は待つ
釣れようが
釣れまいが
幻の魚を夢に見て
海の
静寂
(
しじま
)
に糸を垂らす
自由詩
無人島にて
Copyright
服部 剛
2019-02-03 23:40:01
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