冷たさを運ぶペリカン
竜門勇気

カンニングペーパーに
君の名前を書いた
ずっとすべきだっただろ
思い出せない最後のカケラ

腐った野菜の山
君が僕に抱いた印象
窓の奥に星がいっぱい
見ろよあれが次の街だ

青色だけとっといてくれ
そこにある鉛筆の中で
憂鬱な色はそれだけ
憂鬱を書けるのはそれだけ

火花が散るラジオの前
君の名前を探した
聞こえそうで待っている
冷たさを運ぶペリカン

腐った野菜の中
君が抱いた犬の人形
泡の垂れる唇から
静謐の意味だけ濾し取った

青色だけとっといてくれ
その中のずっと奥には
唯一の意味のある色
それだけが意味のあること

憂鬱な色はそれだけ
憂鬱を食べて
憂鬱は今はここまで
僕に不愉快をくれたよ

憂鬱な色はどこまで
憂鬱を食べて
僕を化物にしてくれんだ?

カンニングペーパーに
君の名前を書いた
君が目の前にいるけど
不思議と読む気にはならない

青色だけとっといてくれ
どこか遠く行っちまう前に
もう振り向いてくれなくてもいい

憂鬱な色はそれだけ
憂鬱は憂鬱を食べて
憂鬱は今はここまで
憂鬱は鉛筆をくれたよ

憂鬱な色はどこまで
憂鬱を食べて
僕をカケラにしてくれんだ?


自由詩 冷たさを運ぶペリカン Copyright 竜門勇気 2019-01-30 12:05:39
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