12月31日
水宮うみ

冬の街を歩くとき、私は少し優しい気持ちになる。
どんな感情も、持っちゃだめってことはないんだよ。
あの人がそう言ってくれたときの、きれいな白い息を思い出すから。

凍える季節のなかで初めて、私は私のあたたかさを実感する。
生活を、愛するということ。人を、大切に思うということ。
たとえ、それができないときでも、体はお日様みたいにあたたかい。

私はもう、私の気持ちを否定しないだろう。
白い息が宙を舞い、すぐに空気に溶けていく。
優しさはいつでも、少し先の未来で笑っていて、
どうやら世界が完結することはなさそうだ。
だからもう、歳をとることを恐れないよ。

今年、365回目のおやすみなさいを口にする。
もうすぐ、私たちの年が明ける。


自由詩 12月31日 Copyright 水宮うみ 2018-12-31 03:27:44
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