初詣
羽根

年末年始の休みは若い二人にとって
一緒にいるだけで十分だった

ただ大晦日の大掃除の時は派手な喧嘩もしたが
弾ける二人に年越し蕎麦なんて関係もなく
ましてはおせち料理なんて気にもしなかった

長い一本のマフラーを二人で巻き
手を繋いで寒い夜中の混んだ初詣に並んだ
首の太い君に僕は引っ張られ続けたし
おまけに君の使い捨てカイロの量は半端じゃなく着膨れが酷く
私を圧迫したが二本の破魔矢を納め
おみくじを引いてその結果に一喜一憂した

寒い海岸でお互い今年の喧嘩の原因の探り合いをして
朝日が昇るのをずっと二人で待っていた
*
晦日の大掃除は仲良く行い
テレビ番組を見ながら年越し蕎麦を食べた

朝にはおせち料理とお雑煮に
舌鼓を打って食べたが
蟹の足の切り方は下手だった
初詣の準備をした

君は本当に顔に似合わず
料理が上手く綺麗に整っていて見栄えが良くいつも驚く

よく晴れた八幡宮は暖かくて
マフラーは要らないくらいだった
一本の破魔矢を納め
おみくじは今年も必ず大吉だと言い
ただ素通りをして引くことはしなかった

久しぶりに海岸に行こうかと言ったら
君は嬉しそうに頷いて
私の袖を優しくつまんで
二人ともペンギンのような歩き方で
海岸へ向かった

冬の海岸は無風で 暖かく
そっと静かな波が打ち寄せて
二人の幸せを祈っているようだったが
何故か蟹が縦に歩いているのが気になった


自由詩 初詣 Copyright 羽根 2018-12-29 20:50:14縦
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