ひかり注ぐ手
木立 悟






消えない泡が
夜の空を見つめ
やがて
もうひとつの夜になる


曇を見るたび痛む目に
雨は常に降りつづき
左側が
見えなくなってゆく


縦の紙を手に取る
縦の紙は揺るがない
縦の紙を土に刺す
縦の紙は冬になる


ただひとりの凍える径が
蒼い炎の花に飾られ
時おり空に到きながら
おとぎばなしを燃してゆく


ひとすじの光の水から
もうひとすじの光が分かれ
水に映る空と窓から
白い星のすがたの人が見ている


どれほどの数の
どれほどの永さの糸が
光を創ろうとしているのか
鏡に向かい ひとり問いながら


冬の原がめくる頁
幾度も幾度も巡る羽
受けとめようと待ち構えるものにけして触れることなく
ただそこに在るそのままの小さな手をかがやかせてゆく


























自由詩 ひかり注ぐ手 Copyright 木立 悟 2018-12-29 19:26:56
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