ポイントカードなんて使わないけど、
よーかん

ローソンに歩いていってコーヒーを飲むのが日課になっている。

「やっぱりローソンのコーヒーが淹れてもらえるからか、一番おいしいね。」

そうなんですかぁ?と言いながらボクには中学生にしか見えない女性店員がコーヒーカップを用意しながら笑顔になる。

「お砂糖ミルクなしですよね。」そう言われてなんだか嬉しかったので、「ああ、今日は砂糖一つ入れてもらおうかな。」彼女の笑顔がまた少し大きくなる。

奥の列に並んでいる作業着姿の兄ちゃん達が、オッサンと少女の気軽な会話に嫉妬しているのが伝わってくる。

兄ちゃん達はだいたい硬すぎる。昔の不良は真面目な子達にほど好かれたものだ。今の不良は引っ込みじあんからくる孤独をハードボイルドと勘違いしている。

オマエさんがたは読書もせんから不良ってなにかを理解っていない。

不良ってのは、生真面目な雰囲気を台無しにするのを目的に生きているようなガキであったり、フザけたナンパ野郎を後ろからいきなり蹴っ飛ばしたりする陽気な連中のことだ。

オマエさん達は、なんだか呼吸まで緊張していて、顔だけエグザイルなファッションヤンキーばかりでつまらん。

コンビニで働く少女に笑顔で迎えてもらえないようなグズ野郎はヤンキーでも不良でもなんでもない。

ただの臆病なチンカスだ。

生真面目なのはネクタイして一生を組織に縛られる男達だけでいいじゃねえか。勘弁してくれよ。日本が日本人じゃない日本人の収容所みたいになって何年立つんだろう。

働きモノのオネエサンがたの、あのイソイソとした陽気さと、あの少女のように、作業しながら気軽な世間話でペースをとれる賢い娘達だけに昔の日本の面影をみる。

「やっぱ、ローソンのコーヒーが一番美味しいよ。」
「ホントですかぁ?」
「ああ、オイラ味とかわかんないけどね。」

少女がまた一歩近く歩みよって両手でコーヒーを渡すのを観て嫉妬してんなよ、このエセ不良ども。悔しかったら、彼女をクスリとでも笑わしてみろよ。

彼女がホントにお話しをしたいのはオマエさんがたなんだぜ、アホチンが。

オイラの一日がまたコンビニ店員の笑顔から始まる。


自由詩 ポイントカードなんて使わないけど、 Copyright よーかん 2018-12-24 14:10:05
notebook Home 戻る