クリスマスソング
秋葉竹
クリスマスイブに降臨する
ピッカピカの大天使、
クリスマスイブに舞い落ちる
さらさらの粉雪、
言葉と
こころと
理想と
夢とを
傷つけられて
千切られる寸前まで
折られた翼を引きずった
地上の天使が、
場違いでギラギラした
ネオンが点滅をくりかえす
私の街を歩いている。
汚れてしまった悲しみに
気もついていないんだろう
けっして俯かない頰にあたる風と雪に
ピクピクと泣き黒子のあたりを痙攣させて、
でも、敵のこころを射抜くような
焼けつく視線で
前だけ見て歩いている。
私は、じゅんぱくなままなのだ、と。
もはや翼とは呼べない
血と泥と醜さに塗れた
羽根のかたまりも
雪の積もりかけたアスファルトに
おぞましい、掠れた絶望を
細く長い血の道として描きながら
躓いては起き上がり、
蹌踉めきながら
歩いている
誰か彼女を救ってやってはくれないだろうか?
私に出来るなら私がやってあげたいけれど
私には、無理だから。
クリスマスイブに降臨する
ピッカピカの大天使、
あなたにお願いしてもいいかしら?
本当に舞い降りてくださるのなら
クリスマス イブに舞い落ちる
さらさらの粉雪、
あなたがたはしんみりと
もう諦めてしまっているね?
私にできることといえば
歌を歌ってあげることだけ
今夜は聖夜、
「メリー クリスマス アンド ハッピー クリスマス」
「ツゥー ユー 」
そしてその傷だらけの天使は
私の未来の物言わぬ影でもあるのだから
「ツゥー ミー」
とも、歌を歌う
「メリー クリスマス アンド ハッピー クリスマス」
「ツゥー ユー アンド ツゥー ミー」
今夜は聖夜、
そんな夜