やがて、その枝のひとつでさえ
la_feminite_nue(死に巫女)

小さなもののことを、
 小さなものが話した。
それは針の穴を抜ける糸のように細く、
 ティーカップにスプーンを浸したときに沈んでいく、紅茶の葉のよう。

大きなもののことを、
 大きなものが話した、
それは、いくつかの星たちと話をしながら、
 星々のなかで、一つの廃星となることを選んだのだろう。きっと。

やがて、葉がゆれる。
 望みもしなかった風に吹かれる。
それは、心地良い微風などではなく、
 嵐となることを望まれた、記憶のなかの眩暈。はるか底の。

冬の木立ちをゆらす、
 小さなものが話をした、
大きすぎるもののことを。
 つきぬける、欠けらの謎にくるまれて。包まれすぎて。

やがて、その枝のひとつでさえ、
 骨となるのだろう。
その骨は、ケーナという楽器。
 ケーナは、愛という愛をすべて拒んだところに現れる、光。

小さなもののことを、
 小さなものが話した。
それは針の穴を抜ける糸のように細く、
 ティーカップにスプーンを浸したときに流れる、一滴の涙のように。


自由詩 やがて、その枝のひとつでさえ Copyright la_feminite_nue(死に巫女) 2018-12-22 12:48:18
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