春の星
水宮うみ

指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、
誰もいなくなった地球を歩いている。
夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。
つま先まで春になった、だけどわたしはひとりぼっちで、
生き物たちをずっと探している。人をずっと探している。
いつまでたっても、春になっても、世界は全然あたたかくならない。
誰も冬眠からさめない。
だからわたしは、夜空に指先で、
春の星を描いた。
誰かが、間違って目覚めるように。


自由詩 春の星 Copyright 水宮うみ 2018-12-14 06:46:07
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