ゆでたまごの詩
ミナト 螢

剥いたばかりの
ゆでたまごが回る
箸では掴めない
軌道の秘密

向き合うことから
逃げてきた僕は
誰かが撒いてゆく
塩の上で
ブレーキをかける
臆病な心

全てを見せるには
黄身が古いと
断り続けた
安売りバーゲン

固まって滑る
朝に思うのは

細かい殻が
ひとつ残ったら
指先で触れる
粉々の痛み

温かい傷に
塩は塗らない
それはきっと
僕の涙なんだ


自由詩 ゆでたまごの詩 Copyright ミナト 螢 2018-12-13 10:30:20
notebook Home 戻る