往季路
木立 悟




雪は雨の背を見て降り
雪の微笑みを見て昇る
つむぎ つむぎ
手わたす手のひら
むすび むすび
つながる手のひら


光に織られた光をまとい
午後の原を梳くように
踊りは生まれ 消えてゆく
織りめのなかに浮き沈む言葉
こがねにかがやく手の言葉


居ないように居るようにそのままの
水の生まれの手をとって
あわれみでもなく
よろこびでもなく握りしめ
ただそのままを
じっと受けとる


羽と雨と雪の背から
肩越しの未来にうずいては散る
踊りの名残り
あたたかな風
たなびくもののはざまのかたち
時間のかたちに見えかくれする


こぼれる空のなかを歩き
暗がりの奥の熱を聴く
見えない波の影だけが揺れ
光のあとを追うように
遅れては遅れては打ち寄せる


指を流れるやわらかさ
道は風の川になり
とても小さな渦まきが
小さな笑みを導いてゆく
重なる季節へ導いてゆく









自由詩 往季路 Copyright 木立 悟 2005-03-27 15:55:53
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