愛しのサチコ
ふじりゅう

電気を消すと鱗雲がよく見える
ぬいぐるみの中は禁断だったけど
青い吐息をまた 水差しへ逃がしている

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きな粉をまぶした様な
つまらない瞳の輝き が
私に写った彼の全てであり
何故だかそれ以上は考えたくもない

気がつけばズブリと闇のプールにいて
一切の光子の行き着く先が 遮断されていた
それに親近感を覚えたのは
何故だろう 考えたくもない

,

滑らかなクリームを塗られた失敗に
ズブズブと溺れて上がれない
ねたり ねとりと巻きついて離れない
ぽん
とオムライスのような不一致さに苛まれつつも

彼の求めてそうな こえ
を、喉奥から捻じ捻じだす

あぁ…っ

あぁあ…!

あぁあっあ…あっあっあっあぁぁ…
あああっ…っあ、あっあぁあ…あ…っあ

それは 軽快な青春を求めるような
ラブコメにときめくような
聖水を求める 雛鳥のようであり

サチコ…

サチコサチコサチコ…サチコ!
サチコっサチ…コ!サチコサチコサチコ!
サチコ、サチコ、サチコ、サチコ
サチコ!サチコ!サチコ!サチコ!


単細胞生物のような彼の呼びかけに
私は ただただひもじいのです


自由詩 愛しのサチコ Copyright ふじりゅう 2018-12-09 14:53:18
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