愛しのサチコ
ふじりゅう
電気を消すと鱗雲がよく見える
ぬいぐるみの中は禁断だったけど
青い吐息をまた 水差しへ逃がしている
,---
きな粉をまぶした様な
つまらない瞳の輝き が
私に写った彼の全てであり
何故だかそれ以上は考えたくもない
気がつけばズブリと闇のプールにいて
一切の光子の行き着く先が 遮断されていた
それに親近感を覚えたのは
何故だろう 考えたくもない
,
滑らかなクリームを塗られた失敗に
ズブズブと溺れて上がれない
ねたり ねとりと巻きついて離れない
ぽん
とオムライスのような不一致さに苛まれつつも
彼の求めてそうな こえ
を、喉奥から捻じ捻じだす
あぁ…っ
あぁあ…!
あぁあっあ…あっあっあっあぁぁ…
あああっ…っあ、あっあぁあ…あ…っあ
それは 軽快な青春を求めるような
ラブコメにときめくような
聖水を求める 雛鳥のようであり
サチコ…
サチコサチコサチコ…サチコ!
サチコっサチ…コ!サチコサチコサチコ!
サチコ、サチコ、サチコ、サチコ
サチコ!サチコ!サチコ!サチコ!
っ
単細胞生物のような彼の呼びかけに
私は ただただひもじいのです