鱗が泳ぎ 悲しみを研ぐ
朝焼彩茜色
神様 私は悲しみと向き合っているだろうか
絵具で押し当てた灰色の空に ギラギラと鱗が生える
その日の空自身が自ら仰ぎ泳ぐように
時間を動いて泳いでいる
ぐだりぐだり
片足を引きずった葬儀屋が合掌の指先から
整える火花を暈して
見送った
神様 私はきちんと悲しみと向き合っているだろうか
心にあいた穴にティッシュを詰めて日常を研ぐ
ふと触ってくるモノに鱗が反応して
君がいなくて淋しいと空が揺れる 涙を落とした波紋
神様 私はきちんと悲しみと向き合っているだろうか
ぐだりぐだり
ギラギラ鱗が落ちてゆく
君の毛並みにすりすりして落ちてゆく