ひかり歌う手
木立 悟





花に咲く水
銀の塔の窓
鳥を放つ子
放つ子 放つ子


さまざまにさかさまに
指と指に入り組んで
小さな声は地に落ちて跳ね
また葉をふちどる炎に還る


影の掻き傷
陶器の空
焦げた黄金
ふたつの午後


月の息
水の譜
一の内の二
見つめあう


夜空の爪
やわらかな跡
傾いだ天使像
過ぎる雷音


夜に浮かぶ銀色の葉が
異なる夜を夢みている
空の手が 海の手に重なり
光は眠る 真昼まで


干し草を集める
道具の名を忘れ
宙を指で掻く
午後は 別の午後になる


岩の手が
空を地に近づける
子らの歌が あちこちに
はねかえる























自由詩 ひかり歌う手 Copyright 木立 悟 2018-11-30 12:28:55
notebook Home 戻る