グラデーション
ミナト 螢
掴まることができない
セーターの袖口を塞ぐ人が現れて
暖かい空気で守り続ける
二人の思い出が膨らむ腕は
風も通さずに聞こえる互いの
脈を打つ音が重なり合って
ジングルベルの間を縫ってゆく
甘え方を知らなくても雪は
平等に積もり熱を奪って
凍える前に吐き出した息が
愛してるなんて言えやしないから
代わりの言葉を探すまで生きる
役目を終えた白い絵の具のように
混ぜられて輝く色があるなら
誰かの心を調和していく綺麗な
グラデーションを作るため
何でも話せる声は外へ向かう
自由詩
グラデーション
Copyright
ミナト 螢
2018-11-30 08:36:38