手の指
あおいみつる
黙って手の指を見つめる
いかにも繊細すぎる指が伸びる
まるで毛細血管のよう
心も考えも何もかもが細かく
脳のシナプスのように連なる
見えない何かに怯え
聞こえない神の声もキャッチする
妄想か事実か判別はできないが
そう信じこむ
それは諸刃の剣のようで
自分をも他人をも傷つける
過去の痛みと涙とは
赤子までさかのぼり
俺を苦しめる
それは自分だけを責め
時に泣きながら笑う
本来の自分を失い
生の喜びをも奪う
人から遠ざかり
人も遠ざかる
やがて孤立して
怯えて一歩も動けなくなる
そう手の指が物語っていた