総称
◇レキ
どうしようもなく
僕らは果てのない過程に生きる
欠損しながら生きている
全力で力むよ 今を、誤魔化すために
生きる事の苦しみ
※
生きる努力の対価に
人は意味を求めたがる
思い込む 思い込む
まるで意味があったかのように
虚しさで震える心を鎮めながら
声が 届いて 染み込んでいるよ
すごいよ、あるよ、意味
※
虚構や優しさを語るのならば
虚構や優しさに在らなければならない
(足元をすくわれる程どうしようもない…)
僕とは
僕の「手に取った世界」の連なりの総称である
人は染まる、人にも染まる
そう言えば今日、僕は人づてに
君に会った(気でいる)
※
「人」は生きる
詩とは一瞬の私の煌めきを〆たものだ
読み手の吐息でひらひらといつでも生まれ直る
詩は書き手を如実に語る
詩はその人のようなもの
人は染まる、人にも染まる
それは不可抗力に、無意識に
僕はあなたを取り込む
「在る」というたったそれだけで
ふとした表情に
語り終えた口元に
「人」は生きる
互いに感染り、伝わりながら「人」は生きて行く
※
それは全く形にも
何にもなっていないけど
優しい世界であればいいと思う
例えば
赤茶けた荒野の
雨に打たれる無慈悲の世界だ
文句無し無秩序で
真実に人が殺されてゆく
それは全く形にも
何にもなってないけれど
多様な世界であればいいと思う
例えば
無骨過ぎる仕組みの
太刀打ちできぬ事実の塊達だ
世界の仕組みに人がいて
一部でなければ排斥される
いつもどこかは誰かの場所で
誰かの役に立つ事で
人はどうにか居場所を得る
寸分の余裕もなく至極当たり前
でも多様で優しい世界であればいいと思う
例えば「本当の意味」が
不可欠からの余剰であるなら
それは一見無意味な顔して
隅の方でその鮮やかさを隠しながら
佇んでいるかもしれないのだから