神風
ミナト 螢
夜の落ち葉が光る波のように
寄せては返す大丈夫だよと
肩を叩いて飛んで行ってしまう
残された重さを手で包んでも
冷えていくのは止められないから
ハンカチを当てて隠した肩に
思い出を並べ明かりをつけた
力強かったあの人の手が
今どこにあるのか知らずにいること
落ち葉の使者が風に頼まれて
私を励ましに来てくれたなら
白いワンピースを揺らしながら
あの人のためのシーツになって
空のカーテンを鳴らしてみたい
そして風に乗り私は消える
ハンカチを一枚置き忘れて
朝の眩しい夢の途中で見た
イニシャルのYをあなたが探す