教室
ミナト 螢
黒板の側に新しいチョーク
ピンクの口紅が綺麗だから
塗ってみたかった鏡の前で
公式に当てはまらずに余った
この感情は消せない気がして
はみ出す度に未熟だと解る
自分の心が揺れている証
将来のことなんて何も知らなくて
口紅のようにガタガタの道で
ローファーの踵に石が挟まり
それを手で拾い投げる仕草は
海で投げる石とは全然違う
縮む心に伸びる身長が
届かなくなって溺れる太陽
何をしていても自分になれずに
教科書を持って帰らない人の
潰れた鞄が格好良く見えた
あの中に何が入ってるのだろう