思慕
そらの珊瑚

波の跡が
空に残って
だけど
いつのまにか風が消していく
秋の雲はことさら
はかなげで
明日にはもう
冬のものになってしまうだろう

空は
海のなれのはて

今はもう絶滅した海を
聴いたこともない潮騒を
ヒトは
心におもういきものらしい

透けた月は
いつか無くしたバロック真珠
手がとどきそうなくらい近いのに
取り戻すにはあまりにも遠くて
耳を飾る日はもうないけれど
ここへ来たなら会える日もある

ジャングルジムの一番高い場所から
紙飛行機を放つ
泳げ
紙の舟になって
泳いでいけ



自由詩 思慕 Copyright そらの珊瑚 2018-11-01 15:33:55
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