壮絶な恋の果てに---シューマンの精神分裂病的な美の世界
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なぜか聴きたくなるシューマン
よく聴くのは
バッハ モーツァルト ベートーヴェン
次によく聴く作曲家の一人が
シューマンだ
若くして精神障害の症状に
悩まされるようになり
その芸術活動にも
かなりの影響がみられる
精神障害の原因として
妻クララの父との壮絶な争いがある
裁判ざたにしてまで勝ち取った結婚と
8人の子供たちを養う負担や
そのことがピアニストのクララとの
トラブルにつながる
晩年に自殺を試みる少し前に
ブラームスのピアノソナタを聴き
感動して
ブラームスを世に出したことだけが
救いとなっている
ブラームスはこのあと
クララに恋をし 果たせぬものとあきらめて
その面影のある娘に恋をすることになる
もちろん正常なときに
作曲したと思われる曲も多いが
そんな曲のなかでさえ
よく聴くと
不安定で不気味な部分がある
精神分裂病的(統合失調症的)な美として
最も好きなのが
ピアノクインテットだ
この曲は
全楽章がすばらしい
しかし精神分裂病的だと思われるのは
それらの楽章の性格だ
終楽章のような第一楽章からはじまり
まともな第ニ楽章の次の第三楽章で
この曲が終わったかと思うと
第四楽章がはじまるという異様なもの
まさに分裂の美としか
いいようがない
とはいえ 聴きたくなるのだから
この 分裂 不安定 不気味 こそ
シューマンの芸術の魅力なのかもしれない