サムライウーマン
ミナト 螢
ピンクの小瓶に入った香水で
描いた円の中を8の字にくぐる
身体に纏う鎧は軽い方が良いと
何だか強くなれた気がする匂いを
薄い皮膚の下に忍ばせながら
シャツの襟元を折り返す時
桜の開花みたいに広がる希望が
ゆっくりと北上してく未来の
前線に乗って辿り着く街へ
自分の代わりに香りを届けたい
そこに待っている人がいなくても
風というマントで飛び回ってる
光の屈折を椅子にしようと
腰をかけたら逃げられてしまうけれど
誰かの膝の上で眠りたくて
桜の木を倒した夜に香る春の雫で
分裂した私をいつまでも
受け止めて欲しかったよ