ステッチ
ミナト 螢
漠然とした痛みが夜を襲い
ミシンを踏んで絆を作った
上糸と下糸が手を結ぶと
縫い目を増やす足跡のように
0.1ミリの隙間が怖い
どうしてゼロにはならないのかな
追いかけて止まってを繰り返しながら
追い越せずにいる背中を見ていた
一本の線になったとしたら
僕たち上手に歩けなくなる
カタカタと回るボビンの中身が
空っぽになって赤いドレスを着る
同じ色のステッチの並び方
ポケットの示す道順を選び
ゴールに何もなかったとしても
目指す方角が一緒で良かった
自由詩
ステッチ
Copyright
ミナト 螢
2018-10-25 08:25:35