旅にあって
Giovanni
旅にあって
飲めない酒を飲んだ
目の前にひらける黒い雲
灰褐色の光
酩酊船
嵐
錨の切れたラテン帆の船
波頭
眩暈
眩暈。
いつしか、酔うのは私なのか
それとも船なのか
そればかりを考えていた
ただ 奴は飲んだ
壊した
呪った
憎んだ
夢を見
わくわくして歩き
魅惑され
そして
渋面のように頑固だった
それなのに
子供の浮かべる
おもちゃの船の
ようでした
なんて
酒飲みながら
涙するよな
おとぎ話は止めてくれ
とうとう
嵐に飲まれながら
自分もいつの間にやら
眠りの海の藻屑となったとさ