褐色の空
ミナト 螢
懐かしい言葉で会話するには
心の壁に反響させながら
自分の声を拾うための装置
駆け出しのリズムを叩くスティック
誰かが割り込む思い出を捨てて
人というものから離れてる
生き方をしても
自分よりも大きく育っていく
花や木の命を気にかけたら
自然とひとつになれた気がする
人は誰でも孤独を愛せると
そのために美しいものはある
邪魔されたくない甘い余韻を
紅茶の中に沈めたティーバッグ
インクが広がるような世界の
過去と未来を泳いで引き上げた
随分と濃い褐色の紅茶が
ひとり分の空を染めていった