さびしい花
塔野夏子
さびしい花が咲いている
そこは天国のはずれのような場所
そこに立ち
あらためて秋という季節をふりかえる
君の白い貌
硝子細工のまばたき
うす青くたなびく記憶――
を幻の鳥のように掠めていったひとつの気配を
名づけぬまま
君はしずかに微笑む
さびしい花が咲いている
そこは天国のはずれのような場所
自由詩
さびしい花
Copyright
塔野夏子
2018-10-13 11:05:33