クレッシェンド
ミナト 螢
落ちる雨が洗い流すものは
インディゴのデニムと軽い約束
目尻に溜まった雨粒のうちの
幾つかは涙でできていたけど
指先の温度計が感じる冷たさを
手袋みたいに白い息で包む
夜の繁華街
ビルの下の群れ
緑の匂いがデパートの中の
香水と混ざり懐かしかった
扉を押すように開く傘が
クレッシェンドの記号を通過して
花柄模様が大きくなれば
遠くからでも君を探せる
濡れたデニムが足に吸い付いて
君の傘に掴まって月へ行く
水の重さを軽くできたら良い
自由詩
クレッシェンド
Copyright
ミナト 螢
2018-10-13 11:01:13