九月出航
塔野夏子
君の背に
あらたな白い帆があがる九月
夜明けのうす青い空に
銀色の雲
君のその帆が
どんな風をはらんで
君を何処へつれてゆくのか
君は半ばは予感し
半ばは不確かさにおののいている
それでも君は
ためらわず出航してゆく
記憶と憧憬を携えて
君を
標
(
しるべ
)
する霊感が
(これまでもたびたびそうだったように)
訪れることを信じて
夜明けのうす青い空に
銀色の雲
その彼方をめざす君の白い帆が
ただ美しい九月
自由詩
九月出航
Copyright
塔野夏子
2018-10-05 22:24:59