六番目の猫
Lucy
その人は
一生の間に六匹の猫に出会うのだという
わたしが知っているのは
九回生まれ変わるという言い伝え
あなたに会いたくて
も一度生まれてきたんだろうか?
昔死んだしろちゃんに
橋の上で再開した
でも猫は同じ模様で生まれ変わるとは限らない
そっくりだったその猫も
他人の空似でしかないかもしれない
猫は服を着替え
また生まれるというのだから
記憶も
服と一緒に着替えてしまうのだろうか
私はかすかにおぼえている
大好きだった人との別れが
辛かったので
死んでも忘れたくなかったんだと思う
倉庫の上の
夕焼けでもない日暮れの曇り空だとか
赤い信号の光なんかが
哀しくて
きっと異国だったに違いないその色の空と街並みを
思い出そうとする時がある
意識の底にわざと置かれた記憶の欠片
たぶん私が猫だった時の